本書は、ジェームズ・アレンの著書『「原因」と「結果」の法則』において述べられている彼の考えを、マンガにしたものである。そのため、本書で描かれているストーリーは、このマンガ独自のものであって、ジェームズ・アレンの原著に掲載されているものではない。
ビジネス書のコミック版というジャンル
最近は、本書のようにビジネス書や思想書にオリジナルの物語をつけることで、マンガをとおして原著の内容を表現にしている出版物が目に付く。その出来不出来は個々の作品によるが、これは、なんとも日本的なものだと思う。もちろん、原著を読むのがもっとも確実ではあるが、それだけの時間がなかったり、あるいはよりわかりやすくエッセンスを勉強してみたいというときは、マンガだけでも十分だと思う。マンガをきっかけにして、活字へと世界が開かれる場合もある。マンガを馬鹿にしてはいけないのである。
『コミック版 「原因」と「結果」の法則』あらすじ
さて、前置きはこれくらいにして、本書「コミック版原因と結果の法則」について語ろう。
物語は、主人公が財布を拾うことからはじまる。その財布の落とし主が自分の勤めるアニメーションスタジオの社長夫人であったことから、主人公は社長と面識を得ることなり、さまざまな人とのかかわりの中、人生がひらけていく。
その原動力となるのは、財布を拾ってくれたお礼にと貰った、ジェームズ・アレンの「原因と結果の法則」である。この本をむさぼり読むことで、この世界は、一番初めに「原因」があって、そこから展開したことが「結果」へといたる集積体であることが語られていく。
原因と結果の関係を学ぶ
原因があるから、結果がある。これは、当たり前のことではあるが、ジェームズ・アレンは、心に思ったことが原因となり、ある現実レベルの結果へと反映される、という風に述べる。要するにポジティブなことを望めばプラスのことが現実に起き、ネガティブなことに思い悩んでいるとマイナスな事態に遭遇するということだ。これは、いわゆる「引き寄せの法則」で言われていることと同じである。
思いが現実をつくるなんて、そんな馬鹿なと思いがちだが、そのようなことを説く自己啓発書は数多く存在する。(そして、実際に書かれた内容を実行して成功を掴んだ人物は、いくらでもいる。本書を読むことで、「原因と結果」の関係の理解という、自己実現の基礎ともいうべき概念を、マンガを通して学ぶことが出来るのだ。
ぜひ、引き続きジェームズ・アレンの原著活字版の一読を!
もっとも、主人公をはじめ登場人物たちが、ことあるごとにジェームズ・アレンの著書からの引用を口にしあうさまは、いくらなんでもやりすぎという感じもしないではないが、ジェームズ・アレンの文章そのものに触れることができるという意味においては、このような物語の進めかたも、ありなのかなとも思う。特に主人公にいたっては、後半のせりふのほとんどは暗誦と朗読ではないかと思うほどの展開なのだが、そのためジェームズ・アレンの考えははっきりと伝わってくるつくりになっている。
本書を読んだら、ぜひジェームズ・アレンの書いた原著「原因」と「結果」の法則も続けて読むことを薦めたい。こちらもコミック版と同じく、ページ数も少なく、読みやすい構成になっている。
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