『まさか発達障害だったなんて』星野仁彦・さかもと未明/著

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本書は共著であり、心療内科医・星野仁彦氏と、漫画家・さかもと未明氏によって書かれたものである。
精神医学の本としては、かなり変わった作りになっていて、それぞれ書いた文章が、章ごとに交互に入っている。
星野仁彦氏が医学的な見地から、発達障害について論じているのに対し、さかもと未明氏は、発達障害であった自身の人生を振り返るエッセイを書いている。

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さかもと未明氏が綴る、幼少時代からの記憶は、発達障害を持つ人の一次資料として、貴重なものであると考える。
というのは、こうした精神障害を抱えていることを公表し、自身の生き様を曝すのは、通常憚られることだからだ。
こういったものを書くのには、大変な勇気がいると思う。

さかもと氏は、自身の才能を生かして、漫画や評論活動を通じて、成功できたので、彼女のような人が「発達障害」だったと聞くと、少し腑に落ちない気がしないでもない。
そこが、発達障害の怖いところである。
本書のなかで詳しく述べられているが、アスペルガーやADHDといった発達障害の患者は、普通の人に比べて優秀な面が多いために、見過ごされてしまうところがあるという。
実際、さかもと氏は高い知能を持っている。

第2章でIQテストの結果が掲載されているが、IQ121という数値が示されている。
しかしながら、彼女のIQテストの結果からは、問題点も指摘されている。
全体的には高い知能を有しているものの、課題や作業を速く正確におこなう処理能力は低い数値を示している。
これは、発達障害においてよく見られる傾向であり、高い能力を示す一方で、「管理」ができないといった特徴を示しているものだ。

発達障害については、日本は欧米に比べて明らかに対応が遅れている。
周囲の無理解という問題も指摘されている。
本書では、第6章において、具体的な治し方について触れられており、また治療薬・コンサータの有効性を提言している。

コンサータは欧米では、発達障害の第一選択薬とされているものの、日本では2013年まで18歳以上への処方は禁じられていた。
こうした経緯があるので、コンサータは発達障害の治療において、まだ一部でしか使用されていない。
コンサータの有効性と副作用については、いろんな意見がある。

しかし、さかもと氏は、「発達障害」という診断を受け、コンサータを服用することで改善してきた。
今まで自分の性格上の欠点として悩みぬいていた彼女は、とても楽になったという。
こうした個別的な事例があることを、広く社会の人が認知するのは決して悪いことではないだろう。

さかもと氏は、新聞で見た「発達障害」の特徴にあまりにも自分が当てはまっていたことに気付いて、受診したという。
自分の性格を深く悩んでいる人は、こうした本を読んで、思い切って心療内科を受診してみるのも良いのではないだろうか。

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