『人生の99%は思い込み 支配された人生から脱却するための心理学』 鈴木敏昭/著

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自分を変えたいけど、変えられない、そんな悩みを持っている人は多いはず。自己改善、性格改善の本やセミナーは多くあるが、そんなもので簡単に自分を変えられるのなら、苦労しないよ、というのが率直な感想だと思う。

何故、人は変われないのだろうか?
それは「思い込み」があるからだ。

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「思い込み」の力は、実に強大である。
「思い込み」は、無意識に、深層心理の中で人生の脚本を書いている。
人生を決定する「人生脚本」によって、人は脚本通りに振舞い、脚本通りの人生を送っていく。
つまり、「人生脚本」を書き換えなければ、自分を変えることはできないし、自分の人生を変えることもできない、というわけである。

そんな馬鹿な、と思うだろうが、これは心理学に立脚した考えである。

本書が明かすのは、「思い込み」はどうやって作られるのか、「思い込み」から解き放たれるには、どうしたら良いのかといったことである。

人それぞれ「思い込み」というのはある。
それに気付いている人もいれば、そうでない人もいるだろう。

今、あなたの足元からカサコソと音が聞こえて、目を遣ると、そこにゴキブリがいたら、どうしますか?

多くの人は気持ち悪いと感じるだろう。
逃げ出す人すらいるかもしれない。
これは「思い込み」の実例である。
「ゴキブリ=気持ち悪い、嫌い」という思い込みが、あなたの中に刷り込まれているのだ。
もしもゴキブリじゃなくて、カブトムシやクワガタだったら、反応は大きく異なると思う。

ゴキブリは、あなたの生命を脅かしますか?
ゴキブリは、あなたのお金を盗みますか?
ゴキブリは、あなたの運気を下げますか?

すべて答えはNOである。
冷静に考えてみれば、ゴキブリは昆虫のなかで、とりたてて有害なものではないことが分かるはずだ。

こうした「思い込み」は7才くらいまでの幼少期に形成される。
この「思い込み」が「人生脚本」を仕上げてしまう。
つまり、人がどのような人生を送るかは幼少期にほとんど決まってしまっているのだ。

さて、「思い込み」はどうやって作られるのか?
親のしつけ、周囲からの評価というのが最も大きく影響する。
本書では、親が子どもをしつける際につかう言葉「○○してはいけません」を禁止令、「○○しなさい」をドライバーという心理学用語を用いて説明している。

例えば、親から「木登りなんて危ないこと、やめなさい」、「あの子と遊んではいけません」、「怪我するからサッカーはやめなさい」などと言われてしまうと、子どもは「自分は何もしないほうがいいんだ」という禁止令を作ってしまうのである。
この禁止令がある人は、従順な子どもであろうとし続けた結果、大人になっても積極性に欠け、人の意見に従ってばかりになる傾向が強い。

こうした禁止令は、ネガティブな人生脚本を作り上げてしまう。

禁止令のほかにも、人生脚本に影響を与えてしまうものとして「ドライバー」の存在がある。
ドライバーは、子どもを行動に駆り立てるメッセージのことである。
例えば、「しっかり勉強して、いい大学へ入れ」と言われて育った人は、「完全であれドライバー」というものに支配されることになる。

数を数えるときに指を折って数えたり、くだけた話し方が出来ない人は、このドライバーに支配されている可能性が高い。

ほんの一例を示しただけに過ぎないが、人生脚本に影響を与える「禁止令」は13個、「ドライバー」は5個、本書で紹介されている。
これを読むと、自分には、どれが当てはまっているのかに気付くだろう。
このようにして、自分の「思い込み」を探る具体的な方法が、本書では示されている。

本書の評価すべき点は、どうやったら、幼少期に植えつけられた「思い込み」を排除できるか、といったことにまで踏み込んで書かれているところだ。
この手の本では、「つづきはセミナーで…」といったように、肝心な部分を書かないことが多い。
そういった意味で、非常に親切な本と言えるだろう。

専門的な用語はそれほど出てこないし、丁寧な説明が加えられているから、心理学の知識がまったくない人でも、簡単に読み通すことができる。

自分を変えたい人、性格を変えたい人はもちろん、子育てをしている人には是非読んでもらいたい本である。
子どもに何を言ったら良いか、何を言ったらいけないかが良く分かると思う。
本書を読んで、人生脚本を書き換えようではないか!
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