現在、世界の人口は約73億人である。今後、2050年までに100億人に迫るのではないかという勢いで増加している。
これほどまでに人口が増えると、懸念されるのが食料問題である。
それに加えて、水も足らなくなるのではないだろうか。
水は、飲み水はもちろんのこと、農業用水、工業用水といろいろな用途で使われる。
あるいはエネルギー問題も心配になってくる。
これだけの人口の増大に、果たして人類は持ちこたえられるのだろうか?
かつて第一次産業革命がはじまった頃、イギリスの古典派経済学者・マルサスは、「世界の終わりは近い」と言った。
その後、第二次産業革命を経て、20世紀を通じて、世界の人口は、これまでにない勢いで急速に増えた。
1972年には、ローマクラブが「成長の限界」を示し、今後、加速化する人口増大に、食料や資源が不足して、人類は危機的状況に陥る未来を予測した。
現在から振り返って考えれば、マルサスやローマクラブは間違っていたことが分かる。
彼らは、経済の観点からもテクノロジーの観点からも、無茶苦茶な意見を言っていたのだった。
今、人類は、第三次産業革命とも言うべく、今までにない規模の大きな変化を迎えつつある。
これまでと同じように、悲観論者は、こう主張している。
「世界の終わりだ」、「成長の限界だ」と。
こうした経済成長をめぐる楽観論と悲観論の対立の源流をたどると、前述したマルサスと、アダム・スミスの世界観の違いにいきつく。
マルサスが人口増大が世界を破壊すると予想したのに対し、アダム・スミスは企業家がイノベーションを起こし、生産性が高まることで、消費の増加を上回るだろうと主張した。
アダム・スミスの主張が正しかったことは歴史が証明している。