『ルポ にっぽんのごみ』杉本裕明/著

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ごみの排出量は2000年にピークをむかえ、その後減少に転じた。
ごみの総排出量は、ピーク時には約5500万トンであったが、現在は2割減の約4500万トンとなっている。

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ごみが減ったのは、景気後退と、自治体や事業者がリサイクルに取り組んだことが原因である。
古紙やペットボトルなどの資源ごみが、ごみの総排出量に対して占める比率を「リサイクル率」という。
リサイクル率は、1990年には5%ほどであったが、現在は20%を越えている。

ごみは、「燃やして埋める」という方式で、処理されてきた長い歴史がある。
しかし、リサイクルやリユース(中古品)が奨励された結果、日本のごみ処理をめぐる状況に、大きな変化がもたらされたのである。

例えば、ペットボトルについて考えてみよう。
ペットボトルのごみ収集は、各自治体から委託された一般廃棄物の事業協同組合が引き受けて、そこからリサイクル業者へと売却されているケースが多い。
しかし、ペットボトルが業者に売却された後、それらがどのように処理されているのかを、自治体は確認していないのだ。
海を越えて、中国に渡るペットボトルも多いという。
中国に渡ったペットボトルが適正に処理されて、環境にやさしくリサイクルされているかどうかは、よく分からないのが実際のところだ。
環境にやさしいどころか、環境汚染に加担してしまっていたら、元も子もない。

実は、ごみ処理をめぐっては、業界内部の対立に、根深いものがある。
単純に考えて、リサイクルに回るごみが多くなれば、リユース(中古品)に回るごみが少なくなる。
こうした利害関係者による対立はいたるところで見られる。
また、関係官庁の縄張り意識も問題である。
このように、ごみ処理業者・官庁・自治体と、あらゆるところで、足並みが揃っていない現状を、理解しておきたい。

本書は、ごみ処理をめぐる問題を、克明に描いたノンフィクションとして面白く読めるものだ。
新書としてコンパクトな形にまとまっているものの、かなりの出来栄えである。
著者の問題意識は、多くの人が共有すべきだと思う。

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