『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』岩瀬昇/著

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資源獲得を南方に求めたのが、太平洋戦争開戦の原因とされている。
これは広く知られている事実である。
しかし、戦前の資源政策について触れた本はそれほど多くない。

本書は、三井物産で、長年に渡って石油事業に携わった著者によるものである。
石油のエキスパートである著者が、戦前の日本における石油政策を読み解くことで、太平洋戦争敗戦の原因を考察した本書は、他に類を見ない代物であり、非常に先駆的な研究といえるだろう。

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戦前の日本においては、国家としての燃料政策など存在していなかった。
浅野財閥総帥・浅野総一郎は、早くから石油の重要性に気づいていた。
浅野総一郎は明治29年の欧米視察で、先進諸国の経済発展を見て、これから石油の時代が来ることを確信した。
そして、「国産原油だけでは供給不足に陥り、海外から原油を輸入して精製すべきだ」と考えた。

当時、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの先進諸国は、原油を輸入して国内で精製する方針を採用していた。
ところが、浅野の主張に反して、議会では僅かばかりの生産量しかない国内の産油業者を保護するために、原油輸入関税の引き上げを決定したのである。

日本の燃料政策は、戦前を通して非常に拙劣なものであり、失敗の連続であった。
大正時代、北樺太においてオハ油田が発見され、日ソ基本条約によって、日本は北樺太での石油採掘権を得て、北樺太石油会社が設立された。
しかし、せっかく採掘権を得た油田も、ソ連の狡猾な外交戦略と、日本政府の無関心ぶりによって、結局はソ連に譲渡してしまうことになる。

また、昭和期に入ると、満州国が建国されたが、この時に、現在の中国経済を支える大慶油田を発掘できていたら、日本の将来は大きく異なっていたものになっただろう。

このように資源政策を全く考慮してこなかったツケがまわって、結果、太平洋戦争へと至るのである。

もしも、満州の油田を発見できていれば、太平洋戦争は起こらなかったかもしれないのだ。

このように本書は、斬新な歴史の見方を提供してくれるものである。全体を通じて、新しく知る事実が多く、非常にためになるものだ。
太平洋戦争を別の角度から分析した好著であると思う。

日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか〈電子書籍Kindle版もあります〉
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