本書は、Q&A方式でまとめられており、よく整理されていて、読みやすくまとまっている。
「人間関係」、「人材育成」、「採用・人事」、「売上、利益、顧客」、「トラブル処理」といった、あらゆる問題について、網羅されているので、この本を熟読すれば、大いに役立つはずだ。以下、いくつか気に入った箇所を紹介してみたい。
職場の悩みの大半は人間関係によるもの
まず、人間関係について触れてみる。
どんな会社でもそうだが、職場の人間関係というのは、実に重要なことである。
だが、スタッフ同士が揉めていたり、部下が指示に従ってくれなかったりといった人間関係のトラブルは、よくある事だ。
店長は、職場のコミュニケーションがうまくいくように努めなければならない。
こういった問題をうまく処理するのが、店長の力量が問われる場面である。
例えば、本書ではこのようなQ&Aを設けている。
Q、店長になった初日、お店に行ったら何をしたら良いですか?
A、スタッフ全員と一人ずつ面談しましょう。
著者は、このように回答している。
店長の仕事に必要なこころがけとは
店長に求められる一番大事な仕事は、コミュニケーションである。
部下とコミュニケーションをとらず、オペレーション(作業)にばかり気を向けていたら、ダメなのだ。
店長の仕事は、他のスタッフとは大きく異なる。マネージャーとしての仕事が、店長という仕事の本分である。
スタッフから店長に昇進したのであれば、これまでとは全く異なる立場に自分が立っていることを、まず自覚すべきである。
スタッフとは絶対に、毎日1分でも良いから話をするべきだ、という著者のアドバイスは、こういった店長の職分を果たすことになる。
ミスタードーナツの人材育成の秘密
そまた、人材育成についても指摘されている。
店長に求められるのは、会社の経営理念をスタッフに伝えることである。
「感じのいいお店」というのがある。
例えば、ミスタードーナツ。例えば、スターバックス。
ミスタードーナツは、全国に1300店舗もある。
これだけたくさんの店舗がありながら、なぜ、どこの店舗に行っても「感じがいい」のだろうか?それは、ミスタードーナツの社内の教育体制がしっかりしているからだ。
ミスタードーナツでは、店長になるためには長期間の研修合宿に参加しなければならない。
この研修において、会社の経営理念、店舗経営のための必要な技術や接客などを、すべて学ぶのである。
店長は、このように会社の経営理念を体現する人物にならなければならない。
そうでないと、当然スタッフたちにも会社の経営理念が伝わらないはずだ。
店長はマネジメントをしながら現場もこなす、文字通りのプレイングマネージャー
本書は、店長を悩ませるあらゆる問題をこなすための、実践的なノウハウが豊富に盛り込まれている。
簡潔によくまとまっているので、店長をしている人には必読の一冊であり、また店長を育てるための、社員研修にも持ってこいの一冊である。