『英語学習は早いほど良いのか』 バトラー 後藤裕子/著

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本来、第一言語(母語)の習得と、第二言語の習得は、根本的に異なるものである。
にもかかわらず、赤ちゃんが日本語を覚えるように、英語を習得しようとか、聞き流すだけで英語ができるようになるといった教材が巷には溢れている。
赤ちゃんが母語を覚えるのと、第二言語を習得するメカニズムはまったく違う。

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赤ちゃんが、母語を覚える過程を説明してみる。
生まれたばかりの赤ちゃんには驚くべき能力がある。自然言語で使われているすべての音素を聞き分けられるのだ。日本人の多くが英語のLとRの違いを聞き分けられないのを考えると、信じられないと思うかもしれないが、生後間もない赤ちゃんにはそれが可能なのだ。

 

日本語を母語とする両親から生まれた子どもでも、英語、フランス語、アラビア語、スワヒリ語、韓国語など、どんな言語の音でも聞き分けられる。ところが生後12ヶ月を迎えるころに、母語で使われない音素の聞き分けができなくなってしまうのである。その代わり、母語習得に特化していく音の認識力が高まるのだ。

 

「言語取得の臨界期仮説」というものがある。
わかりやすく言えば、言語を習得するには年齢制限があるのではないか、という仮説だ。
大人よりも子どものほうが、物覚えが良い。
だから、第二言語の習得も、大人になってからでは遅く、子どものうちから始めなければならない、という理屈で、英語の早期教育を勧める人は多い。

これは全くの誤りである、と著者は言う。「言語習得の臨界期」というものは確かにあるが、それは母語(第一言語)の習得に見られるものであって、第二言語の習得には、そういったものは存在しないというのである。

 

本書は、言語習得と年齢の関係や、外国語学習における年齢の問題、早期英語教育についての論考など、外国語学習をする上で、気になるトピックを多角的に論じ、深い理論的な考察をまじえながら、早期英語教育の是非を江湖に問うものである。

興味深い事項が次々に述べられ、また平易に理解できるように書かれているので、誰にでも勧められる良書である。

英語学習は早いほど良いのか (岩波新書)
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