韓国料理おすすめコミックエッセイ 『女ひとり 韓国ごはん旅』 acha/原作 ヒラ マツオ/漫画

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韓流という言葉が一般化して、もうずいぶんになる。それを象徴する一番初めの存在は、ヨン様だった。あの笑顔に、日本中のおばさまたちが、うっとりしたのである。そのあとは、まさに電光石火、K-POPと銘打たれたアイドルグループが大挙をなしてやってきて、紅白歌合戦にも出場、さらにはお昼のテレビ番組が、韓国ドラマ一色に染まったりするほどにもなった。韓流おそるべしである。

しかし、そんな状況もごくわずかのことだった。2012年の李明博による竹島上陸と天皇謝罪要求をきっかけにして、日韓関係はすっかり冷え込んでしまう。それは政府間レベルにとどまらず、世間一般にまで広がって、韓流を取り囲むかつてのような熱気はすっかり薄れることになったのは、周知のところである。だが、そのような現状であっても、まだまだ韓国文化を好む人は多く、行くところに行けば、熱狂的な愛好家であふれている。

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新大久保はまるでソウルの明洞(ミョンドン)のよう

新宿駅から歌舞伎町を抜け、職安通りを渡ると、そこはまるで異界である。特に、新大久保駅から戸山方面へと向かう大通りは、数は減ったといっても両サイド一面に韓国関係のお店がこれでもかと並んでいる。アイドルグッズを扱った店舗も多々あるが、もっとも目立つのが韓国料理の飲食店である。どのお店も沢山のひとが行列を作っているから、その人気がうかがえる。

韓国料理の魅力を味わう

本書は、タイトルからもわかるように、韓国料理をめぐる内容となっている。著者もまた韓国料理店を経営しているというから、まさに筋金入りの愛好家である。それゆえ、本書からは著者の韓国料理への愛情が伝わってくる。

著者が韓国料理の世界に飛び込むきっかけになったのは、かの地の友人から、一緒に韓国で日本居酒屋をやらないかと誘われたことだったという。ところが紆余曲折あってその計画が頓挫してしまった。だが、せっかくはるばるやってきたので、このまま帰国するのも馬鹿らしい。そこで、韓国にとどまって、料理店のお手伝いや料理学校をとおして、韓国料理の勉強をすることになったのである。

本書はそのときの思い出を踏まえながら、さまざまな韓国料理をめぐるテーマを扱っているのだが、さすがはプロだけあってその説明は詳しく、かつ料理や食材への愛情があふれている。わたしは韓国料理にはまるで疎かったが、このマンガを読んで、どのようなものなのかがよくわかった。

韓国のソフトパワー外交戦略

韓国が自国の魅力アップのために文化の輸出に力を入れていることは、広く知られているところである。いわゆるソフトパワー外交である。かの国はそのために潤沢な国家予算を割いているというから、本気である。その先鞭が一連の映画やドラマであり、さらにはK-POPが後に続いたのは冒頭で述べたとおりだが、現在、韓国がもっとも海外での普及に力を入れているものは、食文化であるという。これは、非常に賢明な選択だと思う。何故なら、人間は必ず物を食べるからである。映画や音楽は、全く関心を持たない人も存在するが、こと食べ物に関しては、そういうわけにはいかない。アメリカのことわざで、恋愛を成就させたいのなら、まずは胃袋からというものがあったが、そういった戦略はたしかに有効なのだ。

女ひとり 韓国ごはん旅<女ひとり旅シリーズ> (中経☆コミックス)

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