『テクノロジーが雇用の75%を奪う』マーティン・フォード/著 秋山勝/訳

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第一次産業革命によって、普及した機械使用のために、雇用を奪われることを恐れた労働者たちは、機械の打ち壊し運動を起こした。
「機械が人間の雇用を奪う」ものとして抗議し、イギリス各地で起こったこの運動は、ラッダイト運動として、よく知られている。

ラッダイト運動は結果的には、間違った運動であった。
というのは、「機械が人間の雇用を奪う」ことにはならなかったからだ。
機械の導入によって新たな雇用が生まれ、労働者たちは新たな職を見つけることができたのだ。
技術革新は繁栄をもたらし、むしろ最終的には雇用機会は増えていくものだというのが、経済学の通説である。

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ところが、現在の世界を見回すと、情報科学の進化によってもたらされた、急速に発展するテクノロジーによって、人間の雇用が奪われようとしていると、著者は主張する。
ロボット工学、人工知能の進化によって、人間よりも優れた能力を持つ機械によって、多くの職を奪われる事態になるというのだ。

確かに、銀行のATMやスーパーの無人レジ、オンラインバンキングなどのように機械を利用したセルフサービスによって、従来の職業が機械によって代行されていることを見れば、一理あると思う。
今後は、単純な仕事はもちろん、放射線医師や弁護士といった専門的な仕事でさえ、機械によって職を奪われることになるという。

もしこれが本当だとしたら、経済システムを根幹から揺るがす事態になる。
職を奪われた人間は、賃金を得られないから、消費の主体ともなり得ない。もちろん、機械が人間に代わって賃金を得て、消費をするわけでもない。
驚愕の未来である。

とはいうものの、そもそも、機械=コンピューターが人間に勝る能力を持つことなど、可能なのだろうか?
人間の知的能力は、ここ数十年でさほど変わっていない。
これは知能テストや学力試験の平均点の推移を見れば、すぐに分かることである。
グラフに描くと、ほぼ横ばいになるはずだ。
それに比べて、コンピューターの能力を示すグラフを描くとなると、指数関数的な曲線によって示されることになるだろう。
コンピューター機能の向上については、新しく買ったパソコンやスマートフォンが、数年前に買ったものよりも格段に処理能力が高く、さまざまな機能が搭載され、しかも安価になっていることから、実感できるものだと思う。
こうした技術は、加速度的に、能力が向上していくものだ。

また、単純に台数を比較しても、コンピューターの著しい進化は明らかなものである。
1975年当時、世界中に何台のコンピューターが在って、それらがどこにあるのか調べるのは、簡単なことだった。
当時は行政機関、大学、大企業といった、ごく限られた場所にしか見られないものだったからだ。
しかし、現在、世界にあるコンピューターの数は10億台を超えるという。

どうやら、そう遠くない未来に、人間の能力をコンピューターが、追い抜くのは事実のようである。
それが現実になり、人間の多くの職が奪われたとき、また新たなるラッダイト運動が起こるのだろうか?

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