自分の経験をもとにして、コンサルタントとして独立しよう、と謳った本である。もっとも、著者は60歳を過ぎてから独立開業し、タイトルどおり成功を収めている人物で、本書も定年間近、あるいは定年を迎えたシニア層をターゲットにむけて書いているのだが、この本は、これから知識を活かしてコンサルタントとして独立をしようと考えているひとなら、誰に対しても響くアドバイスに満ちている。
コンサルタントになるには、自分の経験をいかせ!
まず、コンサルタントとして独立を目指すのであれば、必ずいままで自分が経験をしてきた仕事に関する業務にするべきだという。たとえば、販売促進を主にやっていたのであれば、そのまま販売促進を業務にコンサル活動をすればいいということになるのだが、それでは、不十分であるという。要するに、的が広すぎるのだ。そこで著者は、どんなに小さい分野にしてもかまわないから、「これだったら、自分が日本一だ!」と思えるように、仕事を絞り込むべきだという。
そう、こんなふうに考えてみよう。先程の営業を例にするならば、ペットショップ専門の販売促進、というふうにしてみるのである。そうなると、かなり異色の販売促進コンサルタントになるのではないだろうか。競争相手がいないぶん、固定客をがっちりとキープすることができるのだ。
ダメなコンサルタントは、付加価値を与えられない
また、コンサルタントの業務は、顧客に付加価値を与えることであると、著者はいう。それも、なるべく、顧客が思いもよらない気づきを与えるべきだ。そのような方策を提案するには、思考の次元を、当事者よりも一段も二段も高くする必要がある。アセンションではないが、次元を上昇させ、観察し、判断するのである。顧客は、決して安くはないお金を払って、コンサルタントを雇うのである。経営者や従業員と同じレベルの話しかしなかったら、どうしょうもない。
『7つの習慣』にも通じる、人生の目標の立て方も解説
本書のすばらしいところは、コンサル業務に関する記述ばかりではなく、人生を貫く目標の立て方やそれを現実に落とし込んでいく作業についても、じっくりとページをさいているところにある。この作業をすることで、自分の強みが何であって、また、真の願望とはどのような状態を目指しているのかが、あぶりだされていくようになっている。
コンサルタントなどの知識をベースにした起業は、在庫を抱える危険と常に隣り合わせの小売に対して、たしかに気軽に独立が簡単にできるが、顧客をがっちりつかみつづけなければならない点は同じである。本書を読んで、その発想と技術をまなんでみてほしい。