『ヒトはこうして増えてきた 20万年の人口変遷史』 大塚柳太郎/著

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人口という視点で人類の歴史を概観した本である。
20万年前の人類誕生から、2015年現在、72億人に激増するまでの歴史を振り返る。

人類の誕生は、約20万年前のアフリカにおいてである。
「ミトコンドリア・イブ」という言葉を、ご存知だろうか。

ミトコンドリアDNAは、母から娘へと受け継がれる遺伝子である。
この地球上に存在するすべての人が、一つのDNAにたどり着くことから、それを「ミトコンドリア・イブ」と呼んでいるのだ。

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よく誤解されるのだが、これは、人類の共通祖先をたった一人の女性に求めるものではない。
イブの本体は、「人類の系統樹」ではなく、「遺伝子の系統樹」である。
この遺伝子の系統をもった女性が何人いたのかは、分かっていない。
しかし、世代を更新して子孫を残せることから、少なくとも2000人から3000人の祖先の格となる人たちがいたと思われる。
これが20万年前の人類である。
たった数千人しかいなかったというから驚きである。

そんな人類がここまで繁栄したのは、協力し分業する性質にあったものと考えられる。
食物の分配・交換・贈与というのは、人間に特徴的なものだ。
これは人が協力し、分業することで可能になった人類の繁栄の歴史と、極めて密接な関係を持つものである。
ちなみに、ネアンデルタール人は、非協力的であり、性による分業も行なわれていなかったので、人間よりも脳容量が大きいにも関わらず、繁栄しなかったようだ。

人口は、文明の発展に比例するかのように、加速度的に増加している。
人類が生まれた20万年前の人口が約5000人。
アフリカから世界各地に移住した7万年前の人口が50万人。
農耕が始まった12000年前が500万人。
文明が始まった5500年前が1000万人。
産業革命が始まった19世紀の世界人口は7億2000万人である。
そして現在の人口が72億人である。
産業革命の頃から飛躍的に世界人口は伸びた。
現在が72億人だから、たった二、三百年で10倍も増えたのである。

人類の歴史を振り返った際に気づくのは、人口が増える際には、必ず何か大きな文化的要因があるということだ。
それを本書は詳しく説明している。
人類学、歴史学、歴史人口学といった学問はもちろん、理科的な知識も学べるので、大変ためになる一冊である。
ヒトはこうして増えてきた: 20万年の人口変遷史〈電子書籍Kindle版もあります〉
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