『私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第3の柱」が必要である』ヘンリー・ミンツバーグ/著 池村千秋/訳

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痛烈な資本主義批判、グローバル経済批判の書である。
かといって、共産主義や社会民主主義を擁護するわけでもなく、現代のシステムを改めるには、これまでとは全く違うものの見方で、抜本的な刷新を行なう必要があると著者は説く。

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共産主義に勝った資本主義は今、大きくバランスを失っている。

本来、社会にとって重要なセクターは、三つある。
・政治的な存在である政府セクター
・経済的な存在である民間セクター
・社会的な存在である多元セクター。

政府セクターは、信用される政府を土台とする。
私たちは、政府セクターに物理的・制度的な保護の多くを依存している。(警察機能や規制など)

民間セクターは、責任ある企業を土台とする。
私たちの雇用や、商品、サービスは、企業の活動によって成り立つものである。

多元セクターは、強力なコミュニティを舞台に形成される。
私たちの帰属意識をもたらすものとして、これは位置づけられる。

このように見た場合、共産主義は政府セクターに、権力が一極集中するシステムだった。
その一方、冷戦が終わった頃の西側諸国は、政府セクターと民間セクターのバランスがうまくとれていた。
手厚い福祉や、企業への厳しい規制、富裕層や企業に対する重税が存在していた。
しかし現在、こうしたものは無くなりつつある。
民間セクターの力が大きく強まったのである。

民間セクターの力が強まり、経済のグローバリゼーションが進行すると、主権国家と地域コミュニティの力を蝕んでいく。
著者によれば、所詮資本主義は、民間セクターに権力が一極集中するシステムであり、自由企業が自由な人々の民主主義を乗っ取っているものであるという。
結局、共産主義も資本主義も、一部の人や組織に不当な特権を与える仕組みでしかないのだ。

さて、民間セクターの力が強大化した現在、私たちの採るべき道は何だろうか?

著者は、その可能性を、多元セクターに見る。
政府でも民間でもない「第三の柱」である。

この多元セクターとは何か、どういった事をするのか、といった踏み込んだ説明については、是非本書をお読みいただきたい。

しばしば、左か右か、政府か民間か、といった二元論で語られがちな風潮だが、別の視点からものを考えることを、本書は示唆するものである。

私たちはどこまで資本主義に従うのか 市場経済には「第3の柱」が必要である〈電子書籍Kindle版もあります〉
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