仕事であれプライベートであれ、先延ばしこそ、物事を停滞させ、また自信をなくすことにつながる元凶である。だが、先延ばしは誰かに強制されるものなどではなく、あくまで当人の心理的なものによって引き起こされる。物事の大半は、実際に取り掛かってしまえばたいていはすらすらと片付いてしまうものだ。
だが、たとえ嫌なことであっても、早めに取り掛かることでプレッシャーからも開放され、ここちよく毎日を過ごすことができるのに、そうだとわかってはいても、わたしたちは得てして先延ばしをしてしまうのである。本書は、人はなぜ先のばしをするのかに焦点をあて分析を重ねていき、さらにはすぐに実行するための方法を提示する。
先延ばしをしてしまう理由とは
まず著者は、わたしたちは先延ばしをすることで、利益を得ているのだと述べる。思わずそんな馬鹿なことあるかいと思ってしまうが、著者の説明をきくと、思わず納得してしまうものとなっている。
わたしたちは、極力いやな目を見たくないように出来ていて、それゆえ、やりたくないこと、面倒くさいことは無意識のうちに避けてしまうのだと、著者は述べる。特に、過去に似たようなことでいやな目にあった事柄に対しては、全力でそれを避けようとするのだ。
先延ばし癖を改善しなければ仕事は終わらない
もっともこのような反応は、大袈裟に言えば一種の防衛反応だともいえるのだろう。何故なら、やらなくてはならないことを先延ばしにすることで、今現在を「安全」に過ごすことができるからである。脳にとって、先延ばしには現在を心地よく過ごすという効用があるのである。
だが、いくら嫌だからといって、延々と先延ばしを繰り返ししていても、仕事や問題が片付く分けではない。寝ている間にわたしたちのかわりに仕事をこなしてくれる小人さんは、残念ながらいないのである。そうなると、腹を括ってえいと取り掛かるしかないのだが、何かいい方法はないだろうか。
タッピングによる癒し効果を活用する
そこで本書では、タッピングという心理技法をもちいて、先延ばしをしない自分になるための方法を提示する。タッピングとは、克服したい課題を口にして体の8つのツボに刺激を与えることで、潜在意識を書き換えていく手法である。
なんだかいかにもあやしいが(著者自身もそう述べている)、これは心理療法の先進国であるアメリカでは、ひろく知られている技法である。やり方も簡単で、ひとりで、安全かつ無料で出来る。信じなくても大丈夫なので、ものはためしということで、やってみることをお勧めする。
ただ、残念なことに、本書においてはタッピングに関して割かれているページ数が少なく、初心者にはわかりづらいかもしれない。そのような場合は不安も緊張も指先でたたくだけで消える TFTで誰でもできるタッピングセラピーをあわせて読むことをお薦めする。こちらはタッピングをメインに扱っているので、その技法を支える理論や具体的な施術のやり方について具体的に説明されている。
仕事の業績アップ、目標達成のために読むべき本
人は何故先延ばしをしてしまうのか。本書はその心理を精緻に分析し、負の感情を乗り越えて、嫌なことでもきちんと実行に移すことが出来る自分になるための方法を提示している。仕事が遅れがちの人、あるいは目標達成のための自己管理に悩む人など、多くの人にとって一読の価値のある本である。
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