著者は、この世界には本を読む人と読まない人の二種類がいて、それぞれにまったく異なる世界に住んでいると冒頭で述べる。そして、本を読んでいない人は、本を読んでいる人が属する世界には絶対に入ることが出来ないとも喝破する。
これは、まったくそのとおりだと思う。なぜなら、このようなふたりが出会ったところで、話は決してかみ合わないからである。ある一定量の読書をしているひとの情報量の多さ、あるいはその見識の深さといったものは、相当なものになるので、まったく活字を読んでいない人間は、そのような人と同じときを過ごす機会があったとしても自分が場違いなところにいるような気がして、居心地の悪さを感じるばかりであるだろう。
成功者は、必ず読書家である
ちなみに、世の中で成功者と呼ばれる人は、必ず大量の本を読んでいる。人より抜きん出ようと思っていて、本を読まないで済ませようとするなんて、虫のいい話などはないのである。
いや、もしかしたら、本を読むことこそが、「虫のいい話」なのかもしれない。何故なら、本にはそれを著した人の、考えや経験、そして何よりも、時間そのものが詰め込まれているからである。本を読むことで、わたしたちはそれを一瞬のうちにして吸収することが出来るのだ。特にビジネス書の場合は、著者が犯した失敗例や、それを踏まえての経験まで書かれている。これは、いわば著者が読者の代わりに失敗してくれて、そのような事態を避けるための対策を、身をもって教えてくれているともいえるのではないだろうか!
本はもっとも安く、かつ効果的なハイパフォーマンスメディア!
そう考えると、世の中のあらゆる本は、それを著した人のそれぞれの経験と知識を踏まえた上での報告であるということがわかる。ルポタージュは自分の変わりに潜入取材をしてくれたレポートに他ならず、哲学書は自分の代わりにこの世界の成り立ちを考えてくれたものであるのだ。
そんな風に考えると、本というものは本当にありがたいものであるという思いがしてくる。それぞれの著者が時間とお金を費やして書いたそんな価値のあるものが、数百円から数千円で購入できるのである。しかも電子書籍ならば、その場でタップするだけで、自分のものになるのである。
もっとも、ショーペンハウワーの言うとおり、読書は人に物を考えてもらう行為でもある。だが、だからといって、その言葉を真に受けて、本を読むのを止めてしまってはいけない。言うまでもなく、ショーペンハウワーの言葉は、彼の言葉を目にした後でもそれでも本を読み続ける者に対して向けられた言葉だからである。
読書をすることで、一人の時間を持つことができる
本書は、読書に関してさまざまなことが述べられているが、読んでいてわたしがもっとも刺激的だと思った指摘がある。それは、「本を読むことで、人は一人になることが出来る」というものである。
わたしたちは、日々人と関わって生活をしている。それは会社であれ家庭であれ、日々誰かと関わっているという点において同じである。そんな時、ふと一人になりたいと思うときがあるものだ。
特に、人とのかかわりが過密になっている都市生活者であれば、なおのことであるだろう。読書は、そのための格好のツールであると、中谷彰宏は述べる。何故なら、本は一人でなければ、読めないからである。そう、本を読むことで、一人の世界が生まれるのである。
人は、誰も見ていない時間に何をしているかによって実力がつき、それが評価につながる。読書をすることで自分を磨くのが、もっとも成功への最短距離であることは、言うまでもない。本書は、本読みによる熱い思いがこめられている。ぜひ本書を読んで、さらなる読書に対する情熱を増していただきたく思う。
なぜランチタイムに本を読む人は、成功するのか。 人生が変わる「超!読書」のすすめ
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