『役員になる人は知っておきたい 出世する部長の仕事』 安藤浩之/著

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本書は、企業の中核をなす部長職の仕事について書かれたものである。
役員と課長のあいだの職階である部長は、経営と現場のあいだに立つ独自のポジションである。

世に、経営者や役員に向けて書かれた本、あるいは課長向けに書かれた本はたくさんあるのだが、どういうわけか本書のように部長向けに書かれた本というのは少ない。そういった意味で、本書は大変希少なものである。

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課長から、部長に昇進したものの、仕事の進め方に戸惑いを感じている人は、多いと思う。
部長の仕事は本質的に課長のそれとは大きく異なるからだ。

例えば、部長は「業務の見直し」という権限を持っている。課長以下であれば、自分では無駄と感じていても、上からの指示であるので従わないわけにはいかない。こうした無駄な業務を改め、各課が動きやすい状態をつくるのが、部長の仕事である。

そして時には、事業を見直すように、役員に意見を伝えることも必要になってくる。もちろん、既存事業をやめさせる権限は部長にはない。こうした権限を持っているのは役員である。しかしながら、役員よりも現場のことを把握している分、こうした意見を役員に伝えるのは部長の責任とも言えるのである。

 

整理して考えてみると、部長には三つの役割があることが分かる。著者は以下のように分類している。
1、ゲートキーパー
2、スポークスマン
3、トランスフォーマー
以下、それぞれ見ていこう。

 

ゲートキーパーというのは、門番のことだ。
他部門から依頼される業務のうち、必要性のない業務をブロックして、部内の負担を軽減する役割を果たすのである。

スポークスマンとは、広報担当者という意味だが、これは部の意見を、他の部署に広報するという意味合いにおいてである。ロビー活動を通じて、自分の部署の有用性を訴え、支援を呼びかけるのだ。

トランスフォーマーとは、直訳すれば「交換させるもの」という意味だ。部長は部と部の境界に立つだけではなく、社内外の接点に立ち、取引先や業界団体などの外部ネットワークから情報を集めて、有益な情報を部内にもたらす必要がある。こういった役割を果たしていく部長職に不可欠な能力は、マネジメントの力である。

 

さて、マネジメントとはそもそもどういった意味なのだろうか?
まず、「マネジメント」の意味を正確に日本語訳してみることからはじめよう。ちなみに、マネジメントの日本語訳を、「管理」としてしまうのは、誤りである。正確な解答は、本書の中から見つけてほしい。

自分が役員へと昇進していくことをふまえ、事前にこのような本を読んで自己投資しておくことは、非常に有益なことであるといえる。本書は、部長職を務めている方には、是非読んでほしい一冊となっている。

役員になる人は知っておきたい 出世する部長の仕事
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