『ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略ロードマップ』 ロバート・スティーヴン・ カプラン/著 福井久美子/訳

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本書は、ゴールドマン・サックスの副会長まで務め、現在はハーバード・ビジネススクールで教鞭をとるロバート・スティーヴン・カプランによるものである。

翻訳版のタイトルから、ハーバードの講義録のような印象を受けるが、著者がゴールドマン・サックスに勤務していた頃の経験が豊富に詰め込まれており、大変実践的な内容に仕上がっている。

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一口に「成功」と言っても人それぞれ異なるものである。
お金があって、健康に恵まれて、家族や友人に恵まれている状態は、誰もが望むものだろう。
しかし、より具体的に自分にとっての「成功」とは何か、というのを定義してみると、人それぞれ違ってくるはずである。
同じ人は二人として存在しない以上、「成功」の形はオーダーメイドでなければならない。
多くの人が間違えるのが、自分の成功を定義するときに、他者の言葉で語ってしまうことである。他者の成功を羨み、嫉妬するあまり、他者の成功を、そのまま自分に置き換えてしまうのだ。
こうしたマインドセットは、変えなければならない。
そのためには、自分自身をよく知ることが不可欠だ。

「自分を知る」ことの重要性は理解できた。
では、どうすれば「自分を知る」ことができるのだろうか?

例えば、
・あなたの持つもっとも強力なスキルと、もっとも弱いスキルを3つずつ書けますか?
・あなたの現在/将来の仕事について、もっとも必要な能力を3つあげてください。
このような設問が、本書では設けられている。
自分の長所や短所を知るのは難しいものだ。他の人から言われて初めて気づくものである。
こうしたことを徹底的に考えていくことで、自分を知ることができるのだ。

この本を読んで、最も気に入った箇所は、「自分史を書いてみよう」という所だ。
普通、自分史というと、多くの場合ナルシスティックなものに仕上がってしまう。
それは「勝者の口調」で語られたものだからだ。

本書では敢えて、こうした「勝者の口調」ではなく、「敗者の口調」で自分の人生を振り返ってみてほしい、と書く。
このような自分史を書くことで、自分の心の奥底の声に気づくことができるのだ。
私たちは、こうした心の声から大きな影響を受けている。そしてそれは日常の行動につながっているのである。

本書で具体的に明示されているトレーニングで、自分を知ること。
「成功」するためには、まずこのステップから始めてみてはどうだろうか。

ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略ロードマップ〈電子書籍Kindle版もあります〉
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