『PTA、やらなきゃダメですか?』 山本浩資/著

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PTA活動と聞いて、お子さんをお持ちの皆さんは、どのような印象を持たれますか?
「面倒くさそう」というイメージを持つのが、正直な保護者の反応ではないでしょうか。
役員選びとなると、なかなか決まりません。プライベートな時間を削られるので、できるだけ人任せにしたいと思うのが本心だと思います。

本書はPTA会長になった男性が、PTA改革に取り組んだ経験をもとに書かれています。

著者は、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を参考に、「もしドラPTA」を展開してPTAの改革に取り組んでいくのですが、そのユニークな試みのなかで直面したさまざまなPTAをめぐる事象の数々が本書にはまとめられています。

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まず、PTAに関わる問題の大きな部分として、ワーキングママと専業主婦の立場の違いよる対立という構図があります。
ワーキングママは「平日に動ける専業主婦の方、どうぞ」と主張します。
専業主婦は「私たちにばかり押し付けて」と反発します。これは、同じ母親という立場でありながら、それ以外の属性が異なることから生まれる対立ですが、さまざまな面で多様化が進む今日、ワーキングママと専業主婦の間におけるこのようなやりとりは、どこでもおきることなのでしょう。

PTA活動にマイナスなイメージを持たれる理由としては、3つの“や”が原因です。
「やらなくてはいけない=義務感」
「やらなければ=強制感」
「やらない人がいる=不公平感」
こういった所に原因があります。

PTAは、本来ボランティア参加の組織です。
したがって、強制的にやるものではありません。それでも同調圧力というものがこの日本社会にはあります。
「みんなやっているから、あなたもやりなさい」という圧力です。
それで、みんな嫌々、PTA活動をすることになります。わたしは同調圧力ほど気持の悪いものはないと思っているのですが、この国はどこに行っても、これが溢れています。

そんな同調圧力を利用した、こんな例が本書には掲載されていました。ある学校では、入学式の日に子どもが退場したあとの体育館に保護者たちが残され、「これからPTAの委員を決めてもらいます。決まるまで、お子さんのクラスには行けません」と教師が脅して、体育館のドアを閉め切るというのです。とりようによっては監禁ではないかと思うのですが、このような愚かなことをする輩がいるのですね。

また、ユーモアのある文体が、この本の魅力でもあります。
特に、わたしが気に入ったのは、コラムとして設けられた「PTAあるある」です。面白いので、その中から一つご紹介します。

保護者同士が「○○ちゃんのママ」、「○○君のパパ」と呼び合うことは、よくありますね。
役員を推薦する投票用紙に「○○ちゃんのママ」と書く人もいるくらいです。
その結果、同じ学年に「○○ちゃん」が複数いて、誰だか特定できなくて困る、というエピソードが紹介されていました。どこにでもありそうなお話ですね!

このように本書は、極めて軽いノリで書かれているのが長所です。
「PTAは強制参加のものではありません、ボランティアです」というのが著者の主張です。だから、PTAは楽しんでやりましょう、という事ですね。

この本を読めば、PTAが抱えている問題点と、どのようにPTAという組織を変えていけば良いのかが明確になるはずです。PTAに入った方には、必読の一冊です。

PTA、やらなきゃダメですか?〈電子書籍Kindle版もあります〉
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