「時間がない、時間がない」という人は多い。
仕事に追われ、自分の時間をなかなか捻出できない。
そんな悩みを持っている人は多いはずだ。
年齢や年収が上がってくるにつれて、お金の悩みよりも時間の悩みのほうが切実なものになってくる。
有能な人は、必ずお金よりも時間を優先する。
例えば、ネットショッピングをするときに、同じ商品を一番安く売っているお店を躍起になって探すよりも、さっさと買う店を決めてしまったほうが、時間の節約になる。
このように、ある程度の時間はお金で買うことができる。
しかし、そういった工夫をしても、あれやこれやと「やるべきこと」に追われ、自分の時間をなかなか持てない、そんな方におススメなのが本書である。
著者は、多くの人は「時間のトリック」にはまっているという。
今「やるべきこと」を優先させる。
先のことや「やりたいこと」を後回しにする。
こういう人は、時間のトリックにはまっている。
「そんなこと言ったって、やるべきことが山積みで、仕方ないじゃないか」と、思う方もいるだろう。
しかし、今「やるべきこと」をすべてやっても、おそらく自由な時間はやってこないだろう。
ずっと「やるべきこと」に追われ続けて、毎日を過ごすことになってしまうのではないだろうか。
結局、自分の時間をつくるには、時間に対する考え方、感じ方を、根本的に変える必要があるのだ。
この本で紹介するトレーニングは、「時間がない」という心理的な壁を取り払うために、これまで24時間しかなかった一日のフレームを72時間という余裕のあるフレームを持たせることで、時間に対する感覚を変えていくためのものだ。
このトレーニングは性格を変えることなく、行動自体を変えるものである。
だから、優柔不断で決断力がないと自己分析している方には、特におススメである。
さて、気になるトレーニング方法について少し紹介しておこう。
用意するのは手帳と、三色のボールペンである。
仕事の予定は黒、プラーベートの予定は赤、未来の予定は青で書き込んでいく。
手帳には「繰り越し欄」を設けておくのが特徴だ。
「繰り越し欄」とは、今日できなかった予定を、翌日の予定として繰り越すためのものだ。
なぜ、予定を繰り越しをする必要があるのかというと、このようにすることで、今日と明日をつながりのあるものとして見ることが出来るようになるためである。
つまり24時間ではなく、72時間というスパンで時間を捉える事だ。
そして月間スケジュールには、「やりたいこと」しか書かない。
「やりたいこと」だけを書くことで、自分の時間を作れるように意識するのである。
本当にこんな手帳をつけることで、自分の時間ができるのだろうか、と半信半疑の方もいるだろう。
そうした疑問に答えるため、本書では、第2章と第3章の終わりに「Q&A」が設けられている。
私も初めは半信半疑で読んでいたものの、第二章の終わりくらいから、著者の考えを受け入れるようになった。
時間に追われていると自覚している方には、是非読んでほしい一冊である。