対話・コミュニケーションこそが仕事のポイント!

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仕事の技法 田坂広志/著 書評

cdu445 / Pixabay

「仕事の技法」というタイトルがつけられているが、本書はハウツーもののビジネス書ではない。
営業、開発、経理、総務、広報、人事といった、いかなる仕事であっても求められる、根幹的な技法について書かれている。

あらゆる仕事における「根幹的な技法」とは、「対話の技法」のことである。
というのは、どういった職種であれ、上司や部下、顧客や取引先など、人間を相手とするものだからだ。

「対話」とは、相手にメッセージを伝えること、受け取ることのすべてを指す。

対話には、二種類ある。
表層対話と、深層対話と二種類に分類できる。
表層対話とは、言葉のメッセージによる対話のことだ。

もう一方の深層対話とは言葉以外のメッセージによる対話のことである。
「言葉以外のメッセージによる対話」というと、不思議な感じがするかもしれないが、私たちは日常生活のなかで、実に多くの非言語的なコミュニケーションをしている。

例えば、会話の最中に相手の表情や仕草から、言語外のメッセージを感じ取ることはないだろうか?
自分の話を黙って聞きている相手が、時計をチラチラ見ていたら、「話を切り上げたいのかな」と感じ取るだろう。これが深層対話である。

同じ言葉を聴いていても、その速さやトーン、顔の表情や仕草によって、受ける印象はまったく違ってくると思う。
こうした非言語的コミュニケーションによる対話力を身につけよう、というのが本書の狙いである。

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コミュニケーション能力の向上を目指せ!

非言語的コミュニケーションの能力を高めるためには、どうすればいいのだろうか。やはり、まずは言葉以外のメッセージを感じ取る力を高めことからスタートする。
それには相手をよく観察すること、相手の立場に立って考えてみること、こういったことが必要になってくるだろう。

同時に、自分が言葉以外のメッセージを発していてそれが相手に伝わっていることも、理解しておくべきである。

また本書において著者が「操作主義」という言葉で示しているが、人をモノのように動かそうとする態度は、絶対に良くない。
こうした態度は、相手に伝わってしまうものだからだ。
他人を利用しようと考えている人間は、必ず失敗するものだ。

本書では、「操作主義」を、有名なイソップ物語の「北風と太陽」になぞらえて説明している。

一人の人間を、長く騙すことはできる。
多くの人間を、一瞬騙すことはできる。
しかし、多くの人間を、長く騙すことはできない。

他人を利用しようということばかり考えている人間は、深層対話によって、相手に、利己的性質を見抜かれているのである。
良きビジネスパーソンとなるには、深層対話力を身につけよ、という著者の主張は、正しいと思う。

本書は、具体的なビジネスシーンを例にあげながら、話をすすめていくので、読みやすく、かつ実践的なものだと思う。
是非、本書を読んで、あらゆる仕事の根幹的技法である「深層対話力」を磨いてほしい。


仕事の技法 (講談社現代新書)

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