ある程度生きてきて思うのは、世の中というものは、まったくわからないことだらけであるということである。それは自然科学の知識や哲学用語はもちろんのこと、社会における暗黙の了解まで、数多く存在する。ではなぜ、わからないことばかりなのか。理由は簡単である。これまでの人生において、それらの知識を学習する機会がなかったからである。
近代以降、新しい知識を知ることの土台を担っているのは学校教育である。その学校教育だが、子供たちがやがて社会に出て、ひとりでやっていけるだけの人間になるために、決して短くない時間を費やして通うものであるにもかかわらず、いうまでもなく、それはけっして完璧なものではない。学問に関してはもとより、社会生活の基礎についても十分に教えているとは、とても思えないのである。
確定申告のやり方がわからない原因とは?
たとえば、独立自営業者やフリーランスにとって切り離せない確定申告の具体的なやり方について、学校では習わない。あるいは、節税の仕方も同様である。こんな大切なことを、どうして学校では教えないのだろうか。穿った見方をすれば、「源泉徴収で税金を払う、雇われて生きる人間」のみを輩出することが「国家の意志」なのではないかとも思えてきてしまう。
このように、社会のルールだったり、あるいは知らないと人生が不利になるものであるにも関わらず、学校ではまったく教えてくれないものというのが、この社会にはままあるのである。そうなると、知らないことによって生じる不利益を避けるためには、自分で勉強をして、不足しているだけの知識や技術を獲得していくことが不可欠となってくる。
正しいノートの取り方・使い方とは
さて、確定申告や節税と同様に、知らないと不利になるもののひとつとして、ノートのとり方があげられる。
わたしたちは学校でさんざんノートをとることを強制されたにも関わらず、肝心の「ノートの取り方」そのものに関して、まったく習ってこなかった。本書3本線ノート術は、ノートには「正しい取り方」があるのだということを強調し、その正しい方法は、誰でも身につけることが出来ると訴える。
学習術を経営する著者が本書を書くきっかけになったのは、成績がいい子と悪い子は、まったくノートのとりかたが異なることに気がついたことが発端だった。それを受けて、成績がいい生徒のノートのとり方を一般化して成績の振るわない生徒に教えたところ、どんどん成績が向上し、結果として上位校への合格が続出したという。
この話からも解るように、「頭のいいノートの取り方」というのは、学習し、真似できるものである。そして大げさではなく、人はノートの取り方ひとつで、その人生をも一変させることが出来るのだ。
頭のいいノートの使い方
では具体的に、どのようにノートを使えばいいのか。そのやり方は、非常にシンプルだ。この本のタイトルのとおり、ノートに三本の線を引き、領域をわけるのだ。やることは、ただそれだけである。
注意しなければならないのは、それぞれの領域ごとに書く内容を分けること、それだけである。具体的に説明すると、1事実を記録する場所、2自分の意見や考えを書く場所、3このふたつを読み返したうえで、まとめや要約を書く場所、この3つのスペースを作り、ルールを守りながら書いていけばいいのだ。
何だそれだけのことかと思うかもしれないが、たったこれだけのことで、ノートがすっきりして、大切なポイントや自分の思考をたどりやすくなるのである。使用するノートはどのようなものでもかまわないので、今すぐにでも実践できるのがまた嬉しい。
社会人こそノートの取り方・まとめ方を勉強すべき
どのような仕事であれ、その発端は依頼や指示を受けることからはじまる。忘れないようにその内容を書き取り、あるいは考えをまとめるために思考の流れを書き留める。わたしたちは、常にノートをとることで仕事をこなしているのだ。そんな仕事の要ともいえる作業がより効率的になったとしたら、仕事全体のパフォーマンスが向上することは間違いない。ぜひとも本書を読み、正しいノートの使い方を身につけていただきたい。
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