本書はジェネレーションYに向けて書かれたものである。
ジェネレーションYとは、1975年〜1989年くらいに生まれた世代を指す。
彼らは、幼少期からデジタル化された生活環境のなかで育ち、日常的にインターネットを使いこなしているため、それ以前の世代とは価値観やライフスタイルが大きく異なる。
著者のダン・ショーベルもジェネレーションYに属する若者である。
彼は、会社員として働くかたわら、自身が開設したブログがきっかけとなり、26歳で独立を果たした。
彼は、自身の成功体験をもとに、若い起業家を育てるために情熱を注いでいる。
「会社で働くことを何となく“落とし所”と捉えるのだけはやめてほしい」と著者は書いている。
「まだ、会社で消耗してるの?」とまでは言わないが、日本の読者には、アメリカ版イケダハヤトというイメージで捉えると分かりやすいかもしれない。
イケダハヤト氏と異なるのは、現在属している職場の中で、成功する方法を示している点である。
本書が主張するのは、「自分というブランド」を築く方法である。
そのためには、ネットを使いこなす必要がある。
本書にある言葉を借りて言えば、「オンライン上のあなたこそが、あなたの実像だ」ということを、まず理解すべきである。
アメリカでは、Facebook 、Google+、Twitter、Linkedinといったソーシャルメディアを通じて得られる情報は、会社の人事採用に大きな影響力を持っている。
学生時代、Facebookに投稿した悪ふざけの投稿記事が原因で、就職先が見つからないことだってある。
だからこそ、ソーシャルメディアの使い方には、細心の注意を払わなければならないのだ。
また、逆に、こうしたソーシャルメディアの特性を生かして、キャリアアップに、つなげることもできる。
オンライン上で「自分というブランド」を構築して、ネット上でのブランドイメージが高まれば、実社会にもそれが影響してくるのである。
そのためにはソーシャルメディアだけではなく、ブログを開設して定期的に更新する必要がある。
自分にしかできないこと、自分が情熱を注げられること、自分に求められていること、そういったことを見つけて書き続けていくことで、パーソナル・ブランディングは成功するのである。
実際に、著者はブログを書いて、人生を切り開いた人間である。
そういった意味で、著者の意見は大いに説得力を持つものである。
また、オンライン上のことだけではなく、オフライン上での行動指針も明確に示しているので、成功の秘訣を、両面から網羅した内容となっている。
本書は、アメリカの若者に向けて書かれているので、日本の読者としては、身近に感じられない印象を受けると思う。
しかし、それは社会環境がアメリカのほうが進んでいるからだ。
5年もすれば日本の社会環境は、現在のアメリカに追いつくようになる。
ということは、本書を読むと、他の人よりも先回りできるということだ。
他の人よりも一日も早く、パーソナル・ブランディングしていこう。