ビジネス書は鮮度が命、古いものは、時代が変わってしまっているから、読む価値などない、というひとがいるが、そんなことはないだろう。たしかに語られているひとつひとつの事象は古いものだったり、もう存在しないものだったりすることはよくある。特にIT関係のシステムやスキルといったものは、そういえばこんなだったよね、という印象をうけることがしばしばだ。だが、それだけの理由で、過去の本だというただそれだけの理由で手に取らないとなると、大きな利益を逃すことになりかねない。本書もまた、逃してはならない良書のひとつである。
そのホームページ・ブログ・SEO対策は本当に必要か?
本書は、ホームページを軸とした、企業が行っている戦略が、本当に妥当なものなのかを、まず疑ってかかることを主張している。その内容を平たく言ってしまえば、ホームページ制作会社などから提案されるアイデアの大半は、売り上げアップに直接貢献するものなどではなく、ただ自分たちが儲けたいから薦めているだけ、というものだ。
たしかにかつては、ネット関係を充実させることで売り上げがアップするのでは、という思いに、ビジネス全体が支配されていた。その言葉にのせられて、猫も杓子もホームページを作成していた。この商売の顧客は、絶対にネットを利用しないだろうと思われる業種であっても、けばけばしいバナー広告だらけのホームページを自作していた。
ネット環境の改善=売り上げアップではないことがわかる本
だが、果たしてそれで、みなが売り上げにつながったかというと、そういうことはない。ネット関係に限らず、商売は課題に対する適切な対策をすることで、初めて売り上げが増すのである。より具体的にいえば、市場があるところに、顧客の欲する商品やサービスを提供することで、初めて価値が生まれるのである。
こちらの無知に付け込んで、必要もないものを売りつけるというのは、何もネット業者だけにとどまらない。そのような輩は、あらゆる場所に存在し、不意に出没する。本書は、不必要なもので損を出さないために必要な基本的な思考法の本質を学ぶことが出来る。