適度な運動が、健康に良いのは誰でも知っている。だが、そうはいっても、なかなか続かないものだ。「健康は、なくして分かる、宝物」といった所で、健康である限り、生活習慣を改めようとしないものなのである。
日常生活の中で運動をしてしまおう!
本書が主張するのは、日常生活におけるちょっとした動作を、運動にしてしまおうというものだ。
例えば、椅子から立ち上がるときに、少し立ち上がり方を工夫するだけで、スクワットと同じ筋力トレーニングの効果を得られるのだ。
そうした工夫を生活に取り入れることで、知らず知らずのうちに運動を生活のうちに取り入れ、若々しい体となり、健康を維持していくことができるのである。
メタボならぬ、「ロコモ」とは?
ところで、現在、30歳代男性は肥満傾向にあるようだ。
1980年当時の平均体重が62キロだったのに対し、現在は70キロ程度である。
肥満は体に悪いし、見た目も良くない。
中年になれば、誰しもがメタボ対策をとらなければならないだろう。
さて、メタボについては広く一般に知られているが、本書が強調しているのは「ロコモ」である。
ロコモとはロコモティブシンドロームの略で、筋力や関節機能の低下などにより、自力で体を支えるのが難しくなる状態のことを言う。
中年期はメタボに悩み、高齢になればロコモに悩むのは、生きている以上、宿命的なものと言えるだろう。
加齢にともない、身体能力が衰えるのは避けることのできない事実である。
しかし、手軽なトレーニングをおこなうことで、それを和らげることができるのだ。
運動の方法・やり方をまとめた図解
本書は、メタボ、ロコモを解消する簡単なトレーニング法を、図をまじえて分かりやすく紹介している。
もっとも、なんでも良いから運動をすればよい、というのは大変な誤解である。
自己流の運動がかえって老化を促してしまうこともあるので、本書のような専門家によって監修されているトレーニング方法を学び、しっかりと知識をつけたうえで、普段の生活のなかで取り入れていくのがよいと思う。
関節に注意しながら運動を
特に、運動をする際には関節への負荷を常に考慮しておくべきである。自己流でやってしまうと、このあたりが怖いところである。
なぜならば、人間の関節機能は、復元不可能なものであり、一度損なわれたら元に戻らないのである。無理な運動をして、関節に負担をかけてしまうと、かえって体を痛めつけることになってしまうのだ。特に膝関節には気をつけたいところである。
本書は、普段何も運動をしていない方はもちろん、何か運動をされている方も確認のためにも、是非一読してほしい内容となっている。