IoT(Internet of Things)とは、情報通信機器だけではなく、いろいろなモノに通信機能を持たせて、相互に通信させて、自動認識や自動制御をおこなうことである。
モノのインターネット化と言ったほうが分かりやすいかもしれない。
モノ同士がインターネットで結ばれていて、自動に動くのを想像していただければ良いと思う。
現在、IoTという言葉は、多くのビジネス書で見られるが、いまいちピンとこないという方は多いだろう。
それらの本のなかには、IoTによって、あらゆる産業に革命的なイノベーションが起こり、人間の生活を根本から変えてしまうという予想するものもある。
本書を読めば、現在すでに実用化されているIoTを、ホームセキュリティ、自動販売機、ガス・水道・電気メーターといった分野における導入例を知ることができる。
そして近未来、さまざまな産業で取り入れられるIoTの技術を説明している。
この本は、IoTがどれほどの衝撃をもって私たちの生活を激変させるか、ということには、傾注していない。
読んでいて、驚きを感じる部分は少ないだろう。
2030年頃に応用されるIoTを、淡々と紹介するにとどめている。
第2章「産業別IoTの動向」においては、電力・ガス、ホームセキュリティ、工作機械、フィールド系産業機械、事務機、不動産、自動車、ヘルスケア、第一次産業、ペット、小売、社会セキュリティといった、あらゆる産業で、IoTによって、どのような事ができるのかを見ていく。
この章を読み通せば、近未来導入されるIoT技術を俯瞰することができる。
今後、日本はさらなる高齢社会へと向かっていく。
そうした中で、労働力不足となるのは否めない現実である。
労働力を補うために、移民を受け入れるか、あるいはロボットで代用するかという、どちらかの選択をすることになるだろう。
ヨーロッパ諸国では、これまで移民を積極的に受け入れてきたが、パリ同時多発テロ事件によって表面化したように、社会問題化している。
こうした移民問題の現実を鑑みた上で、日本人の国民性も考慮すると、今後はロボットに頼ることになるのではないだろうか。
その時、IoTは大きな力となるだろう。
今後、日本社会に大きく寄与するものであることは間違いない。
本書は、技術面やビジネスモデルについても書かれているが、技術面については専門的な内容となっている。
今後、IoTが用いられる産業に携わる人は、是非読んでほしい一冊だ。